自宅で算数のポイントを学べる講座をこれから続けて行きます。
まずは速さです。速さの問題は、多くの学校で頻出するテーマのひとつですが、結構、苦労している子どもたちが多いテーマでもあります。そこでまずは基礎をがっちりと掴みましょう。
比は速さの問題にも利用することができます。
特に重要なのは、同じ時間を移動しているところ、同じ距離を移動しているところに注目する解き方です。
例えば A から P が、B から Q が同時に向かい合って出発したとしましょう。P の分速は 120m、Q の分速は 80mです。
このとき、二人は出会うまで同じ時間移動することになりますから、移動する距離は速さの比に等しくなります。
すなわち 120:80=3:2です。
ふたりがAB の真ん中よりも 240mBよりのところで出会ったとすれば下の図のようになります。
すると AB 間の距離は【5】 とおくことができますから、ちょうど半分は
【2.5】ということになります。【3】-【2.5】=【0.5】 がちょうど
240m ですから
240÷0.5=480mが【1】 にあたります。
したがって AB 間は【5】 ですから 480×5=2400mと計算できますね。
このように動いた距離や速さを比を使って解く問題は中学入試ではよく出題されています。ここでは、まずよく出題される形を学習してみることにしましょう。
(例題1)
A から P と Q が B に向かって出発します。P が出発して 8 分後に Q が出発し、Q は出発して 12 分後に P に追いつきました。その後 Q は 18 分で B に着いたそうです。これについて次の問いに答えなさい。
(1) P と Q の速さの比を求めなさい。
(2) P はA から B まで何分かかりますか。
(解説と解答)
(1)P が出発してから Q に追いつかれるまで8分+12分=20分かかっています。したがって A から追いつかれた場所まで P は 20分、Q は 12分かかっていますから速さの比は 12:20=3:5になります。
(答え)3:5
(2)速さの比が3:5なら、同じ距離を動く時間は5:3になります。
Q はA から B まで 12 分+18 分=30 分かかっていますから、Q は\(30*\frac{5}{3}=50\) 分かかります。
(答え)50 分
このように同じ距離を動いている場所、同じ時間動いているところに注目していくと問題を解くヒントが見つかるでしょう。もう少し例題を考えていきましょう。
(例題2)
上流の AからP船が、下流のBから Q船が同時に出発、向かい合って進みます。P と Q の静水時の速さは同じです。P は出発して 3 時間後に Qとすれ違い、その後 2時間で Bにつきました。流れの速さが時速2km として、次の問いに答えなさい。
(1) P、Q の静水時の時速は何kmですか。
(2) A から B までの距離は何kmですか。
(解説と解答)
流水算です。下りの速さは静水時の速さ+流速、上りの速さは静水時の速さー流速になっています。ここでは P,Q の静水時の速さは同じです。
さて、P は出発して 3 時間後に Q と出会いました。そしてその後 2 時間で B に到着しました。ということは Q も出発して 3 時間後にP に出会ったわけですが、その間を P は 2 時間で動いていることがわかります。
したがって P の下りの速さ:Q の上りの速さ=3:2です。そこで PQ の静水時の速さを【1】とすると、
【1】+2:【1】-2=3:2
内項の積=外項の積ですから【3】-6=【2】+4より【1】=10
(速さの比が3:2でその差が流速の2倍に等しいので、1が4km にあたると計算してもかまいません。)
したがって(1)の答えは 10km になります。
P の下りの速さは 10+2=12km ですから、12×5=60km がAからBまでの距離になります。
(答え)(1)10km (2)60km
速さを比におくことによって、いろいろ解き方が増えていきます。ポイントは
1 同じ時間を動いているところ
2 同じ距離を動いているところ
に着目することです。
このようなポイントを上手に問題の中で見つけていきましょう。
この後の詳しい内容は、以下の動画教材をご利用ください。
動画教材「これでわかる速さ」