ノートに問題は解く

最近はタブレットで問題を解く子も増えてきました。

教材もデジタル化されていますし、移動中に勉強することもできます。重いテキストやノートを何冊も持ち歩かなくてよい、という意味では、確かに便利です。実際、事情があって移動が多く、落ち着いて自分の机で勉強する時間を取りにくい場合には、タブレットを使うことで何とか学習を続けられる、ということもあるでしょう。

だから、タブレットで勉強すること自体が悪い、という話ではありません。

ただ、算数の問題を解く、特に中学受験の問題を解くという点では、やはりノートに書いて解くことを基本にした方が良いと思います。

理由ははっきりしています。算数は、答えだけを出す勉強ではないからです。

問題文を読んで、条件を整理する。図を描く。式を立てる。場合分けをする。途中の計算を残す。間違えたときに、どこで考え違いをしたのかを見直す。

こうした作業は、頭の中だけで済ませるものではありません。手を動かして、紙の上に考えを残していくことで、初めて自分の考え方が見えてきます。

タブレットにもペンで書くことはできます。しかし、画面の大きさや書き心地、ページ全体を見渡す感覚は、やはりノートとは違います。途中式や図を自由に広げていくには、紙のノートの方が向いている場面が多いのです。

特に中学受験の算数では、解いている途中で考え方が変わることがあります。

最初に描いた図を見直して、別の線を引く。表を書いてみて、規則に気づく。式を書いたところで、条件の読み違いに気づく。そういう試行錯誤が大事なのです。

その試行錯誤が、ノートには残ります。

一方、タブレットでは、消すことが簡単です。書き直すことも簡単です。それは便利な反面、子どもがどう考えたのか、どこで迷ったのか、どこで間違えたのかが残りにくい。

勉強で大事なのは、きれいな答えを残すことではありません。むしろ、間違えた跡、考え直した跡、計算をやり直した跡にこそ、次に伸びる材料があります。

ですから、問題を解くときは、まずノートを開く。

問題番号を書き、必要なら図を描き、条件を整理し、式や計算を残していく。答えが合っていたかどうかだけでなく、その答えにたどり着くまでの道筋を残していく。

これを習慣にしておくと、復習がまったく変わります。

「なぜ間違えたのか」が見えるようになります。計算ミスなのか、条件の読み落としなのか、考え方そのものが違っていたのか。ノートを見れば、親も先生もかなり正確に判断できます。

逆に、答えだけが残っている勉強では、何が悪かったのかが分かりません。

だから、算数の勉強では、ノートは単なるメモ帳ではありません。考えを組み立てる場所であり、あとで自分の学びを振り返るための記録でもあります。

もちろん、家庭の事情や移動の多さによって、いつも理想通りに机に向かえるとは限りません。その場合にタブレットを活用するのは、現実的な工夫です。

ただ、落ち着いて勉強できる時間があるなら、問題はノートに解く。

この基本は、やはり崩さない方が良いでしょう。

子どもたちは、書きながら考えることで、少しずつ自分の解き方を作っていきます。ノートに残った途中式や図は、その子の思考の足跡です。

その足跡を残していくことが、算数の力を伸ばすうえで、とても大切なのです。