受験勉強は長ければいいわけではない

近年、中学受験の準備を始める時期が、どんどん早くなっているように感じます。

3年生から塾に通い始める。あるいは、もっと早い学年から受験を意識した勉強を始める。周囲がそうしていると、「うちも早く始めないと間に合わないのではないか」と心配になるのは当然でしょう。

しかし、本当にそこまで長い準備期間が必要なのでしょうか。

中学入試で問われる内容の中心は、やはり小学校高学年で学ぶ内容です。算数にしても理科にしても、5年生、6年生になって初めて理解できることは少なくありません。子どもの成長を待った方が、ずっと短い時間で理解できることもたくさんあります。

だから私は、中学受験の勉強は5年生、6年生の2年間でも十分に間に合うと考えています。

もちろん、何もしなくていいという話ではありません。低学年のうちは本を読んだり、計算をしたり、興味のあることを調べたりする。そういう経験は大いにしてほしい。しかし、それと「受験勉強を始める」ということは別です。

受験準備を早く始めれば始めるほど有利になる、とは限りません。

むしろ問題なのは、受験勉強の期間が長くなりすぎることです。

まだ十分に理解する力が育っていない段階から難しい問題をやり、毎週のテストに追われ、クラス分けを気にする。それが3年、4年と続けば、当然疲れます。

最初は楽しそうに塾へ通っていた子が、5年生、6年生になるころには、すっかり勉強に疲れてしまっているということもあります。本来、一番力を伸ばさなければいけない時期に息切れしてしまうのでは、何のために早く始めたのかわかりません。

中学受験は、長く勉強した子が勝つ競争ではありません。

必要なことを、必要な時期に、しっかり身につけた子が強いのです。

5年生では、算数や国語を中心に基礎をしっかり作る。理科、社会も少しずつ知識を増やしていく。そして6年生になったら、入試問題を意識した演習を増やし、夏以降は志望校の過去問を中心に学校別対策を進める。

この2年間をきちんと使えば、十分な受験準備はできます。

逆に4年間塾に通っていたとしても、ただ授業を受け、宿題をこなし、テストを受けていただけでは、必ずしも力がついているとは限りません。

大事なのは期間ではなく、中身なのです。

ですから、「もう5年生だから遅い」「4年生から始めなかったから不利だ」と考える必要はありません。

むしろ後から始めた子の方が、受験までの期間が見えている分、集中して勉強できることもあります。余計なことに手を広げず、必要なことを絞って進めれば、短期間でも力は伸びます。

そして、受験勉強を始める前の時間も大切にしてほしいと思います。

遊ぶ。本を読む。スポーツをする。家族で出かける。好きなことに夢中になる。

そういう経験を削ってまで、早くから受験勉強を始める必要があるのか。それは一度考えてみてもいいでしょう。

今の中学受験は、準備期間が少し長くなりすぎているように思います。

周囲が早く始めているからといって、焦る必要はありません。

受験勉強は長ければいいわけではない。

子どもの成長に合わせて、必要な時期に集中して取り組む。5年生、6年生の2年間をしっかり使う。

それでも中学受験には十分間に合うのです。