2年間の受験準備は何もフリーダムが最初ではありません。
ほぼすべての塾が2年間で長く、受験準備をしてきたのです。
しかし、少子化で塾に通う生徒数が減ってきました。さらにバブル崩壊、リーマンショックなどの不景気もあり、塾は生徒数の減少に頭を痛めていました。で、そうなると学年を広げる、というのがひとつの方法になります。
中学受験は6年生で卒業ですから、2学年の塾よりは3学年の塾の方が経営的には安定する。そこで、まず4年生の通塾をスタートさせたのです。ただ、4年生のカリキュラムは補助カリキュラムでした。まだまだ早いと思っておられるご家庭が多かったので、5年生からが本カリキュラム、そのまえが補助カリキュラムという形で4年生がスタートしました。
で、その後、塾の囲い込み競争が始まりました。その当時はそれなりに強い塾があったのですが、そこから群雄割拠になって多くの塾ができ、生徒の取り合いが始まったのです。それまで塾は電車に乗って通うものでした。
家の近くに中学受験の塾がない、というので30分ぐらい電車に乗って塾に通う生徒が多かったのです。しかし、群雄割拠時代に、各沿線に塾の教室ができました。塾が生徒を迎えに行ったのです。それと並行して、早くから生徒を囲い込む、という戦略が各塾で取られるようになりました。
なので、流れとしては4年生の補助カリキュラムが本カリキュラムになり、3年生のカリキュラムが生まれてそれが補助カリキュラムになりました。
昨年からさらに進んで、2年生から補助カリキュラム、3年生から本カリキュラムに変わった塾があります。
ただ、これは本質的な変化ではありません。やはり入試で出る問題は、ほとんどの塾で小学校5年生と6年生で勉強している塾がほとんどなのです。ただ、早い段階で生徒を囲い込み、囲い込む以上、その必要性を説かないといけないので、組み分けテストをして順位をつけ、このくらいの成績をとらないと上位校にはいけない、と子どもたちではなく保護者のお尻を叩いている塾がほとんどなのです。
だから、慌ててはいけません。
今年、家でじっくりと勉強を進め、6年生の後期最初の模擬試験で1位を取った子がいます。今、各塾が何とか取り込もうと電話攻勢をかけているようです。つまり、早くから始めなくても十分に間に合う子どもたちは多いのです。
逆に早くから始めたがために、本人が勉強する意欲や自信を欠いてしまったケースが多くなっています。最近頻繁に聞くのが「中学受験撤退」。これはこれまでそれほど多く聞くことがなかったのですが、やはり準備期間が長くなり、親も子も疲れ果ててしまったからではないかと思います。
子供の成長に合わせて受験準備を進めていけば、別に2年でも十分に間に合う。
これが本質です。その本質から目を離し、塾の囲い込み競争に取り込まれてしまうと、かえって子どもたちにいらぬ負担を強いることになりますから、慌てて始める必要はないのです。