自由形か、管理型か

通学距離、難度、附属校か受験校か、男子校・女子校か共学校か、いろいろな要素があるわけですが、しかし最も重要なのは子どもとスクールカラーの相性です。

それぞれの学校には学校創立以来脈々と培ってきたスクールカラーがあります。

特に顕著なのは、自由形と管理型。

自由形というのは、子どもたちの判断になるべく委ねる。自分で決めなさい、自分で考えなさい、という学校。その分校則はないし、制服もない、というところがあるわけですが、一方でつい自由と奔放をはき違えてちゃんと勉強しなくなる子もいます。

一方、その反対が管理型で、生活や成績をしっかり管理する。宿題は多いし、やらされることも多いから、先生に反発することもあるが、一方でその流れにのれば結構いろいろな力が伸びる。

どちらが合うか、ということで入学後の伸びがやはり大分違います。このスクールカラーは附属校と受験校での違いとは一致しない。

附属校でも管理型があり、自由形がある一方、受験校でも管理型があり、自由型があるのです。

どちらが合うか、まずお子さんのことを考えてみてください。

受験校か、付属校か

志望校を考えていくときにまず最初の分かれ道がここでしょう。

受験校は大学受験をする学校、付属校はそのまま系列の大学に進学する学校のことですが、これはそれぞれにメリット、デメリットがあります。

大学受験は確かに大変ですが、自分の志望する大学を自由に受けられるという点はメリットです。一方付属校にした場合、自分の行きたい学部が系列の大学にない場合がありますから、大学受験をした方が選択肢は増えます。

一方付属校のメリットは、中高6年間、大学受験勉強にとらわれずに自分のやりたいことができます。

クラブ活動にしても、勉強にしても自分でやってみたいことを幅広く挑戦することができます。

受験校の場合、遅くとも高校2年の秋の「新人戦」で引退、ということが多くなりますが、付属校の場合は最後までしっかり部活に取り組むことができるので、大学に進んでもその部活を続けると言う子が多くなります。

現在は、大学受験制度が不透明なのと、私立大学の定員厳守の流れから付属校の人気が高まっています。

これまで医学部の人気が高かったのですが、AIやIT技術の進展により、もっと違う技量を身につけた方が良い、と考えられてきているのも要因のひとつです。

例えば国公立大学の医学部の合格者を過去3年間のランキングにした表で見ると、ベスト10は
1位 東海 2位 ラ・サール 3位 洛南 4位 灘 5位 久留米大付設 6位 開成 7位 東大寺 8位 愛光 9 甲陽学院 10 四天王寺

となって実は関東の学校は開成しかいません。国公立大学の医学部が関東には少なく、関西や東海圏に多いことも一因ですが、さらに首都圏ではいろいろな分野の就職があり得る。一方関西中心の会社はそれほどメジャーにはならないところもあって、医学部の人気が西高東低になる傾向にあるのです。

となると、別に大学受験をしなくとも、早くから自分の好きな分野を究めていける方が良い、と考えるのも道理になってくる。

特に少子化が進み、人材不足は明確ですから、これからの子どもたちは別に学歴がどうのこうの、というよりもその人材の持つ資質の方に目がいくでしょう。案外中学高校とプログラミングばかりやってきた、というような子が必要とされるような時代になってくるかもしれないのです。

ただ、先にお話しした通り、付属校には学部の限界があります。進みたい学部が自大学にないケースは十分に考えられるので、だから受験校を選ぶというのもひとつの選択ではあるのです。

一方早稲田や慶應にある特定の大学に入れたい、と考えるのではあれば付属校を選択して良いかと思います。

得てして大学付属に入ると遊んでしまう、と考えられる方が多いのですが、そういうわけにはいきません。むしろ大学付属は大学に推薦させるために進級を厳しく管理するところがあります。例えば慶應の場合、中1から留年があり得る。そして同じ学年は2年間しかいられません。その場合は退学しなければならないので、それなりにプレッシャーはかかるようにできています。進級に関して言えば概ね受験校の方がゆるいでしょう。

だから、決して遊んでしまうというわけにはいかないのです。どちらが我が家にとってはいいか、どちらが我が子にとっていいか、をまずはじっくりと考えてみてください。

ウチの子なりの勝負の仕方を考える

小学6年生と言いながら、4月生まれがいて、3月生まれがいます。

生まれが遅いからと言って成長が遅いわけではないが、ではみんな差がないか、というとそうではない。

大きな子がいて、小さな子がいて、体力がある子がいて、すぐ疲れてしまう子もいます。

しかし、どちらかというとそういうことは一切無視して、塾のペースで受験勉強は進む。

本当は子どもたちそれぞれに個々の差があるので、その状況に合わせた受験勉強をしないといけないのです。

だれもが週5日の塾に行く必要があるのか?といえばそんなことはないし、だれもが小学校5年までにすべてのカリキュラムを終わらせる必要があるか、といえばそうではありません。

で、ここに落とし穴がある。

みんなと同じにできないということは、ウチの子には力がないのか、といえばそんなことはない。

本人なりの伸ばし方があるはずで、それをやれば良いだけの話。

実際に大事なのは入試に間に合えばいいだけのことです。

だから、同じにできないとわかれば、方法を変えればいいのです。それを無理をさせてやらせるから、かえってさらに難しくなってしまう。

ウチの子にはウチの子に合うやり方で勝負してもらいましょう。

自分で自分の力を伸ばす経験をさせる

小さい時から習い事をすることはとても大事なステップです。

例えばサッカーで練習をして、ドリブルができるようになる、リフティングができるようになる、そういう経験は何事も練習していけばよい、ということを実感できる。

気持ちが「うまくなりたい」「できるようになりたい」と思うことで、さらに練習に熱が入るから、やはりそういう気持ちも持たせることが必要ではありますが、しかし、そういう気持ちを持った子どもたちはやはりどんどん上手になる。

で、その経験は中学受験にも役に立ちます。

あれができたんだから、算数もできるんじゃないか。

練習すれば、国語もわかるんじゃないか。

そういう気持ちになってくれれば、練習である勉強に対するマイナスの気持ちはなくなっていきます。

子どもたちはゲームをやるとき、最初からうまくいかずに練習してできるようになっている、ので、これは勉強でも同じこと。

問題はゲームがうまくなる以上に成績が上がるということについて、本人の気持ちが向く工夫をしていくことが重要です。

志望校が先か、成績が先か

中学受験は、最近準備を早くから始めるので、志望校の話が比較的後回しにされやすい。

まずは成績が出て、そこから志望校を考えればよい、と思っておられるご家庭が多いと思うのですが、実はこれがあまり効率が良くない。

中学入試はそれぞれの学校が独自に問題を出す「独自入試」なので、学校別の出題傾向はさまざま。

例えば算数では、記述式で難問を4題しか出さない、という学校もあれば、20問近くの問題を出す学校もあり、まあ、その出題傾向もいろいろなのです。

で、それを全部対応できるようにする、というのは途方もない努力になる。しかもそれが4教科ですから、大変なことなのです。

ところが志望校が先に決まっていると、その出題傾向に合わせて準備を進めていけばいいので、学習内容を取捨選択できるようになるのです。

だから志望校は先に決める方が望ましいのです。

成績は目標を決めて上げる方が本人の気持ちも乗りやすい。ただそれはやはり5・6年生になってから、という子がほとんどです。だからそれまでは基礎をやっていれば十分。

ご家庭はそれ以前に、どこに入れるために中学受験をさせるのか、というテーマをしっかり考えてください。

そこが子どもたちの負担を軽減する大事な道筋です。

学習の計画を立てる

いくつかの目標をその学年で立てるということから、まずスタートします。

できるようになることを具体的に決めるというのもひとつの方法ですし、総合テストを受けて、その成績を目標にするというのもありでしょう。

ただ毎月、というスパンで考えるのは5年生になってからでよいと思うのです。

それまでの間はもう少し大きなスパンで考えていく。

例えば2か月、3か月ぐらいの中で何ができるようになっていくか、どこまで到達できるようにするか、で良いでしょう。

この問題集を3か月でやり遂げる、というのも良い目標の立て方です。

そして、それを3か月で達成するにはどうすればいいか、具体的に計画を立てる。

このとき、子どもたちと一緒に計画を立てることが大事です。親が全部決めて「ハイ、これやって」はあまり効果がない。

まずは目標を決めるところから、子どもたちとコミュニケーションをとり、それなりに子どもの考えも聞いた上で、これを達成していくようにしていくと、子どもたちの自主性が育ち、かつ達成感も味わえるので、それが自信につながっていきます。

計算は正解率勝負の練習をする

計算問題は毎日練習した方が良いが、これもたくさんやらせると、いい加減になるだけ。

大人だって分数小数の計算問題を20題出されれれば辟易する。

そうなるとミスも出るし、式も書かなくなったりするのです。

だから、毎日3題ずつやるのが良い。

で、ちゃんとそういう本があるのです。

これが5年生も、6年生もある。

その代わり3題やって絶対間違えないようにすることが大事。

見直しして、これは絶対できている、という自信を培ってください。

一緒に勉強すれば、わかっているかすぐわかる

お父さん、お母さんが子どもと一緒に勉強して、同じ問題を解いていれば、それは何ができて、何ができていないか、すぐわかります。

実際に返ってきたテストを確認してみれば、おのずと「ここができて、ここができていない」ということがわかってくる。

で、塾の場合はそこを手当てすることなく、先に進みます。それで大丈夫のか聞いてみると、

「カリキュラムはスパイラルなので、またやり直しますから大丈夫」

という答えが返ってくるわけですが、実は大丈夫ではない。スパイラルといっても同じことを繰り返すわけではなく、何等か進んでいくのです。

だから当然わからなくなる可能性が出てくる。

ここでしっかりフォローができるかどうかが、確実に進む一番の方法なのです。

先に進まなくてもかまいません。もともとやることが早すぎるきらいはあるので、むしろ確実にわかっていった方がよほど道筋は早い。

なので、「親が一緒に勉強するので良い」ということになるのです。

世界の多くの子どもたちはWEBで学んでいる

これから日本は人口が減るので、世界的に人材を求めていく流れになっていく、と少なくとも世界企業の経営者のみなさんはそう考えています。

そういう考えをしていかないと、やがて企業は滅んでしまう、と思っているからです。

では世界の子どもたちはどうやって勉強しているのでしょうか。

世界の子どもたちがみんな豊かで良い暮らしをしているわけではありません。しかし、そんな中でも多くの子どもたちがいろいろな勉強をしている。

しかしそれはWEBから学んでいることが多いのです。これが大きく変わったことのひとつ。

実際に今日本でもいろいろなことをWEBで学ぶことはできる。ちょっと調べ物をするのにあたって、WEBを開いた方が速いということはみなさんが経験していることでしょう。

世界の子どもたちは小さい時からそれしかないことが多いので、そこで勉強する。しかし、内容としてはなかなか進んだことを学べるところはあって、それがやがて子どもたちの力になり、新たなキャリアを生んでいるところもあるのです。

だからWEBで学ぶということは、これから普通のことです。

先生に習う、より「もっと自由」だし「もっと簡単」になっている。

そういう力を今の子どもたちはもっと身に付けていかないといけないのではないかと思います。

実際に自分で興味を持ったことを調べた結果として、自分で勉強してしまう子どもたちがこれから増えていくことになるのでしょう。

その点は、きわめて平等になっているとも言えますが…。

こんなのカンタンだよ

といって自分で勝手に勉強を進めて、1週間分の内容を終わらせると、好きなゲームや読書、あるいは遊びに時間を費やす、そんな子が私が描くイメージです。

今は正規、非正規の差ができているから、お父さん、お母さんは何とか良い会社の正社員になってほしいと思っているそうです。

だから大学も就職予備校みたいなところがある。

今の大学生はまじめに勉強して、優秀な成績をとることが大事になっているのでしょう。それはある意味何とかレールに乗りたい、ということなのでしょうが、ある有名な経営者の方が

もはや日本にレールはない

と言っておられました。日本は人口がどんどん減るし、高齢化も進む。日本人だけでやろうというのは競争力が低下するもとなので、いろいろな人材を企業は雇わないといけない。日本人ばかりを雇うようになるとは限りません。だから人間力を本当は鍛えないといけないところがある。そのために大事なのは遊びです。

いろんな遊びをした上で、自分は何が面白いか、何に興味があるのか、だんだんわかってくることが必要ですが、今の小学生にその時間が無くなりつつあるのは非常に良くない。

それはなぜそうかというと、塾に競争させられているからです。

小学校3年生や4年生ぐらいから、塾のテストで順位付けされている。お父さんもお母さんももっと良い順位にならないとレールに乗れない、という危機感があるから、必死になっているのですが、すでにレールがないとすると、実は大事な時間を浪費させられている可能性があるのです。

勉強することは大事です。それは入学試験がある以上そうなのだけれど、そこはうまくやらないといけない。

競争させられることなく、自分の好きなことを没頭するために、「さっさとやるべきことを終わらせる」のであれば、それが一番効率的な時間の使い方ということになるのではないでしょうか。

最後の2年間で、ちゃんとできるようになっていればいいわけで、それまでの時間を大事にする、ということはこれからの人材を育てるのに必要なことだと思います。